頼光と土蜘蛛
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図版
図版 6-1. 歌舞伎役者図
- 歌川豊国 大判3枚続 版元・山本屋平吉 文政3年(1820)
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妖しい美女の姿で現れた土蜘蛛。「巍魂宿直噺(やままたやまおよづめばなし)」の一場面と思われる。
左より、七代目市川団十郎(坂田金時)、五代目瀬川菊之丞(大くもの精)、五代目松本幸四郎(卜部季武)。
図版 6-2. 頼光館土蜘怪異做図(よりみつのやかたにつちぐもかいいをなすのず)
- 豊原国周 大判3枚続 版元・平野屋新蔵 慶応3年(1867)
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紫色の病鉢巻をしているのが頼光。歌舞伎や人形浄瑠璃では病人がこの鉢巻をする約束事があり、浮世絵にもしばしば描かれている。
図版 6-3. 土蜘蛛とろくろ首
- 歌川国芳の作とされる 小判3枚続 版元未詳 天保6年(1835)
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手下のろくろ首が頼光の従者たちに手ごめにされているのを見て、少々困惑顔の土蜘蛛。
この土蜘蛛は頭部がペニスのような形をしており、その姿はまるで呪い師が呪文を唱えているように見える。
銀色の蜘蛛の巣が墨一色のバック(墨潰し)に映える。
図版 6-4. 源頼光公館土蜘作妖怪図(みなもとのらいこうやかたつちぐもようかいをつくるず)(1)
- 歌川国芳 大判3枚続 版元・伊場屋仙三郎 天保14年(1843)
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国芳の作品中、もっとも独創的かつ庶民の共感を得た図のひとつ。天保12年から14年にかけて、老中水野忠邦は「天保の改革」
と呼ばれる政治・経済改革を行った。倹約励行・風俗粛清をスローガンに掲げたこの改革で、庶民は厳しい締めつけにあい、
不満を募らせていた。本図の上半分の妖怪たちは、さまざまな禁令に苦しむ人々のデモ行進を表しているといわれる。
いっぽう、病鉢巻をした頼光は無能な将軍、碁を打つ四天王は忠邦一派ならびに検閲官とされている。
この浮世絵版画は幕府に押収され、版木も壊されてしまったため、初摺は大変貴重だ。
しかしその後、版木を作り直し、無許可で少なくとも二度版行されている。
図版 6-5. 源頼光公館土蜘作妖怪図(2)
- 歌川国芳 大判3枚続 版元・伊場屋仙三郎 慶応3年(1867)
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6‐4図から4半世紀後に出版されたもの。初摺より色彩が鮮やか。
図版 6-6. 土蜘蛛妖怪図
- 歌川貞秀 中判3枚続 版元未詳 天保14年(1843)−弘化1年(1844)頃
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6‐4図とよく似ているが、こちらは土蜘蛛伝説を題材に、国芳作品への幕府の厳しい検閲を批判している。
手前左端の、灯りを手に仁王立ちし、睨みをきかせているのが検閲官。妖怪どもは恐れおののいて逃げ出し、
土蜘蛛も目を白黒させている。版元の屋号と改印がなく、無許可で出版されたことがわかる。
図版 6-7. 未宵蜘蛛線(くべきよいくものいとすじ)
- 二代歌川国貞 大判3枚続 版元・伊勢屋兼吉 元治1年(1864)
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江戸守田座で上演された歌舞伎に取材。
左から、三代目市川九蔵(渡辺綱)、中村仲太郎(卜部季武)、三代目沢村田之助(傾城薄雲・実は蜘の情)、
尾上梅幸(碓井貞光)、四代目中村芝翫(坂田金時)。
図版 6-8. 歌舞伎役者図
- 歌川国芳 大判3枚続 版元・山本屋平吉 出版年未詳
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演目・役者名未詳。左側の卜部季武と坂田金時は、土蜘蛛に碁を邪魔されて怒っているように見える。
病で臥せっていた頼光は、駆けつけた渡辺綱、碓井貞光とともに剣を構えている。
図版 6-9. 歌舞伎役者図
- 三代歌川豊国(歌川国貞) 大判3枚続 版元・出版年未詳
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演目・役者名未詳。左から、碓井貞光、頼光、坂田金時、渡辺綱。
茶を出す切禿(きりかむろ)の口を金時がこじ開けている図は、6‐10図の国芳の作品に影響を与えたと思われる。
図版 6-10. 主馬佐酒田公時 靭屓尉碓井貞光 瀧口舎人源次綱(しゅめのすけさかたのきんとき ゆげいのじょううすいさだみつ たきぐちのとねりげんじのつな)
- 歌川国芳 大判3枚続 版元・山口屋藤兵衛 文久1年(1861)
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迫力満点の本図は国芳の没年に出版されたが、落款や画風から天保中期頃(1830年代後半)の作と見られている。
左より、白石を持つ渡辺綱、見物する碓井貞光、黒石を持つ坂田金時。3人は碁に熱中するあまり、妖怪どもをまるで気にかけて
いない様子。ところで碁を打っていると、そばに張りついてうるさく口出しする者がよくいるが、そういう輩に比べれば、
この妖怪どものほうがよほど可愛げがあるのではないだろうか。
図版 6-11. 芳年漫画 天延四年秋妖怪土蜘蛛脳源頼光寝所酒田公時等宿直欲払其妖図(よしとしまんが てんえんよねんあきようかいつちぐもみなもとのよりみつがしんじょをなやましさかたのきんときらとのいそのようをはらうをほっするのず)
- 月岡芳年 大判2枚続 版元・小林鉄次郎 明治19年(1886)
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碁盤を枕に横になっている坂田金時。土蜘蛛が遣わした女の幻影の気配に目ざめ、そっと様子をうかがっている。
土蜘蛛伝説を斬新な切り口で描いた1作。
図版 6-12. 頼光と土蜘蛛
- 勝川国長 大判3枚続 版元・和泉屋市兵衛 出版年未詳
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妖怪を退治する頼光と四天王。左端で頼光が土蜘蛛の肢を切り落としている。
図版 6-13. 歌舞伎役者図
- 二代歌川豊国(歌川豊重) 大判3枚続 版元・山本屋平吉 天保(1830-43)初期
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演目は未詳だが、土蜘蛛伝説をアレンジした舞台。左から、五代目瀬川菊之丞(傾城)、七代目市川団十郎(鬼童丸)、三代目尾上菊五郎(源氏綱)。
源氏綱と太夫は碁盤縞の布の上に2色の菊の花を並べ、碁に見立てて楽しんでいた。
鬼童丸のうしろに蜘蛛の巣がちらりと見え、土蜘蛛の存在を匂わせる。
そしてよく見ると、大夫の右頬に何やら蜘蛛の毛のようなものが……。